実際の体験談です。「怖い話」にしてしまって良いのか?判断は読む方に任せます。
その日、私は仕事の面接に行く為に電車に乗っていた。
朝から雨が降り、肌寒い日だった。平日の午後だったので車内は空いていたので、席が空いていた。
私は席に座り、右側の手すりに傘を引っ掛けた。
しばらくすると、電車は駅に到着し、人が乗り込んできた。
私の隣の席にも人が座った。年配の男性だった。
瞬間的に自分は、「ホームレスの人だ」と思った。
髪も髭も伸ばしっぱなしのように長く、服も皮膚もうす汚れているように感じ。
紙袋を持っていて、おそらく、しばらく風呂に入っていないのだろう、わずかながら異臭を放っていた。
その風貌は、どうみても、“ホームレスの人”であった。その男性は、特に何をするでもなく、おとなしく座っていた。
しかし私は、大変失礼ながら、何か嫌な感じがしたのと、「臭いに弱い」為に座席を変えたいと思い、立ち上がり歩き始めた。
露骨にならないように、2両先まで行き、なんだかもう他人とは関りたくない気分になったので、開かないほうのドアの前に立ち、ずっと外を見ていた。
しばらくすると、頭の中はこれから行われる面接の事で一杯になった。
仕事を辞めてもう1ヶ月近く経っているので、「そろそろ決めないとやばい」
と思っていたが、年齢も30になり、アルバイトを転々とした職歴の自分には、就職は難しかった。
だんだんと「自分はどこも受からないのでは?」と思い不安になった。
入りたい会社には全く採用されない、だからといってどんな仕事でもできるわけじゃない。
となると、自分はホームレスになるのだろうな・・。と思っていた。
しかしここは前向きにならなくてはいけないと、面接ではできるだけきちんとしよう、と思って自己紹介や言葉遣いなどをシュミレーションしていた。
そんな中、なんとなく、自分の後ろに人の気配を感じた。
そういえば、数分前から気配を感じていた事を思い出した。
電車が混雑してきたのかな?と思い、その人と目が合わないように、目線をずらして少しだけ見てみた。
自分の真後ろには、さっきのホームレスが立っていた。
瞬間的に私は固まってしまった。
恐ろしくて、ちゃんと見れないが、たしかに先ほど隣に座っていたホームレスだ。しかも、座席の手すり(棒)につかまり、私を囲むように立っていて、ちゃんとは見ていないが、じっとこちらを見ているように感じた。
私は「なぜ?」と思い、いろいろ考えた。
たしかにホームレスの人が隣に座って2、3分で席を替えたのは不快だったかもしれない。でも一度もホームレスの人の方を見ていないし、当然嫌な顔、動きは一切見せていない。
しかも2両先に移動していて、その座席からは見えない位置にいる。
仮にそのホームレスの人も偶然席移動してここまで来たとして、なぜ自分の真後ろに、しかも私を囲むように立つのか?
どうみても私に対して何かあるような状況だ。
恐ろしくなった私は、次の駅に止まると、目的の駅ではないが無我夢中で降り、走ってその車両から遠ざかり、ホームレスの人が追って来ない事、その電車が発車した事を確認し、一息ついた。
「恐ろしい体験をした・・・しかし助かった・・・一体、何だったんだ?」
と思い、だんだんと冷静になってきて、ひとつの事に気づいた。
「傘忘れた!」
その直後、さっきの事について、ひとつ仮説が浮かんだ。
「ホームレスの人は、傘を届けてくれたのかもしれない・・」
たしかにホームレスの人は何か持っていたが、恐ろしくてよく見られなかったし、自分の紙袋だけだったかもしれない。
それに、何も声かけて来なかったし・・・。
この出来事は、考え方によっては全然違う話になってしまいます。
しかし、結局、よく考えても何だったのか、未だにわかりません。
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